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陶芸家 中嶋寿子さんのこと
お店で取り扱いのある中嶋寿子さんは、陶土を使って作品を製作をされています。
神奈川県の出身で女子美術大学工芸学科を卒業後、2011年に金沢卯辰山工房を修了されました。現在は石川県で制作をされています。
陶の独特の表情や作品の世界観、そして中嶋さんの人柄にたくさんの方が集まります。
モノから人へ、人から人への繋がりや広がりを実感させてくれる作家さんでもあります。
中嶋寿子さんの作品は、まず石こうで型を作ります。
出来上がった型に、ちぎった土をや砕いた土の粉を中側に貼り付けていきます。
型と型を合わせる部分に土を盛り付けくっつけます。そして、時間を置いてはずし素焼きにします。
型は同じでもひとつひとつ表情が違うので、お客さまは探すようにご自分の気に入ったものを選ばれます。
陶板は、手動の機械で土をのばし布を敷いて板枠にはめこみます。
表面に、ちぎった土を貼り付けたり、砕いた土の粉をまぜます。
ナイフで絵型を切り抜き、その部分に土を埋めていき出来上がったら素焼きにします。
陶板は、正面から見ると版画のような壁画のような独特の表情です。
壁飾りや壁のタイルとして中嶋さんの作品を使用しているお店が金沢にはたくさんあります。
「好日用品店」の陶板(表札)は中嶋寿子さんが作ってくださいました。
まだ3年ほどですが、長い年月がたったような風格が漂っています。
オブジェなどは、ひとつひとつのパーツを細かく制作されています。驚くほど、細かい作業をおひとりでされています。
用途が違っても、その物が持つ雰囲気は変わりません。
土の中から発掘されたような古い昔からあるもののような。
中には、海岸に流れついたような漂流物のような作品もあります。
どの作品も静かに息づいている生き物のように感じます。
お住まいから離れた場所にある古い繊維工場の奥の片隅で、静かに制作されています。
ひんやりとした空間に古いラジオと作業用の机。
大きな木槌や粘土。石工の型がごろごろと転がっていました。
中嶋寿子さんとはお店をする前からの10年以上の付き合いです。
出会った頃に彼女の制作した大きなオブジェと出会い衝撃を受けました。
原始的で力強く、人を引き寄せる魅力に溢れていました。
現在は、ブローチや花器、器、壁掛け、小さなオブジェなども制作されています。
目にするたびに嬉しくなり、そばに寄り添ってくれる存在。
進化し続ける中嶋寿子さんの作品、生まれてくるのが待ち遠しいです。
好日用品店 廣島友紀
伝えたい布もの
お店で取り扱いのあるSuno&Morrison。
Suno&Morrisonは、福岡に住む齋藤由清乃さんがはじめたブランドです。
オーガニックコットンのガラ紡を中心に、インドの手紡ぎ手織りの布やベトナムのカゴなど、実際に使ってみて気持ちよいと感じた糸や素材でものづくりをされています。
ガラ紡とは、ガラ紡機と呼ばれる紡績機で紡いだ糸のこと。
明治時代、糸が貴重だった時代にくず糸を再び糸として再生させるために作られました。
当時は水車で動いており、現在は電力で動きますが仕組みは当時のまま。
量産型の紡績機におされ、徐々に衰退し現在は2、3件で稼働しているのみとなりました。
材料を余すことなく大切にする昔の人の知恵がつまった布。
そして、なにより驚くほどの柔らかさと軽さ。触れるたびに気持ちよさを実感できます。
冬は暖かく、夏は通気性があり速乾性にも優れています。
手紡ぎの手織りのカディはインドで作られています。
使い込むほどに柔らかくなっていく楽しみがあります。インド糸は発色がとても綺麗です。
齋藤さんがデザインをし配色をすることで、さらに魅力のある布となります。
色の組み合わせが絶妙で、とても洗練されています。
ガラ紡やカディのあまり布で、赤ちゃん用のスタイやぬいぐるみを作られています。
布もの以外にもベトナムで作られたカゴやマットなども、生活に溶け込むような品物が揃ったブランド。
齋藤由清乃さんは、穏やかで芯が通った魅力的な女性です。
初めてお会いした時から、齋藤さんのお人柄に魅力を感じ背景のあるものづくりをお伝えしたいと思いました。
世の中の状況が落ち着いたら、紡績機がある一宮にもぜひ訪れてみたいです。
好日用品店 廣島友紀
贈り物の箱
贈り物の箱は、松原紙器製作所 ハコヲツムの松原さんにお願いしています。
針葉樹の未晒しパルプと広葉樹の晒しパルプを配合したクラフト紙は、使い込んだような色と質感がとても気に入っています。
丁寧な仕事で貼り箱を製作してくださるので、いつも安心しておまかせしています。
オープンの時はヴィンテージアッシュで貼り箱を3型製作していただき、
今回は同じクラフト紙のブルーグレーでカトラリー用の箱を製作していただきました。
贈り物を開く時のわくわく感が感じられ、その後もとっておきたいと思えるような箱です。
贈り物の箱として役目を終えたあとは、文房具入れやDM入れとしても活躍しそうです。
お店ではラッピング用のリボン入れとしても使用しています。
最近お客様で『贈り物で頂いた箱が気に入って収納に使っています。ひとつ販売していただけますか』という方がいらっしゃいました。消耗品でもある箱をものとして大事に使っていただいている様子をお伺いできてとても嬉しくなりました。
ラッピングは過剰な派手さがなくても相手に伝わります。
贈る方の気持ちを込めて、丁寧にお包みさせていただきます。
好日用品店 廣島友紀
ラッピングのイラスト
昨年のお店のオープンに合わせて、型染絵作家の山﨑菜穂子さんに図案をお願いしました。
店名の由来である「日々是好日」から、小さな喜びを見つけるというイメージで包装紙の柄を作成してくださいました。
小さく芽吹いた双葉の成長が、一日一日かけがえのない日々だと気づかせてくれます。
そして、2年目。
金属や木でアクセサリーなどの装身具をご夫婦で製作されている初雪・ポッケさんに図案をお願いしました。
いただいたお手紙やアクセサリーの箱に描かれたイラストが本当に愛らしく、無理を承知でイラストのお願いをしました。
お忙しい中、前向きに引き受けてくださり本当に感謝しています。
包装紙のイラストとしてお願いしたところ、2枚の原画をいただきました。
2枚を好きなように並べて包装紙の図案としてお使いくださいとのことだったのですが、1枚1枚の原画が本当に素敵で、飾ることもできるメッセージカードとポストカードに変更することにしました。
たんぽぽの綿毛に乗って、ゆっくりとどこまでも贈り物をとどける女の子。
原画をいただいた時は、胸が熱くなりました。
道ばたのどこにでもあるタンポポ。
綿毛に乗って、風に揺られ、強い生命力で花を咲かせます。
タンポポのように、誰かが喜び元気になる存在になれれば嬉しいです。
毎年少しずつですが、ラッピングのアイテムを増やせたらと考えています。
贈り物を選んでくれた方が、わくわくするような。
贈り物を受け取った方が、喜ぶような。
贈り物の専門店、何年後かにどのようなお店になっているのか私自身も楽しみです。
好日用品店 廣島友紀
お店のこと
〝想いのこもった贈り物を包んでお渡しするお店〟
良いことがあった日もそうでなかった日も、
毎日がかけがえなのない日という意味で〝好日用品店〟と名付けました。
オープンから1年経ち、様々なことがありますが、贈り物のお店をはじめて本当によかったと思います。
贈り物を届けるお手伝いをするつもりが、包むたびに何か温かいものに触れたような気持ちになります。
お届けする方の気持ちをそのままお包みしたいので、手を洗い清め無心でお包みするのですが、それでも何かを受けとるような感覚です。
うまくまだ言葉にすることはできませんが、続けることで見えてくるものがあるかと思うとこれからも楽しみです。
贈り物の内容は、人によって様々です。
おめでとうやありがとうの気持ちだったり、日々の自分へのご褒美だったり、励ましだったり。
贈り物を通して、色々と学ばせていただいてます。
新型ウィルス影響で先が見えない不安や、お店を続けたいという思い、家族やまわりの大切な人を守りたいという思い、いろいろな思いがありました。
今回のことで、自分にとって大切なものは何かをはっきりと気づくことができました。
生活に必ずしも必要でないものを売るということの意味についても考えさせられました。
長々と書いてしまいましたが、風が通る気持ちの良いお店なので、気軽にお散歩がてら寄っていただけると嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いたします。
好日用品店 廣島友紀