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土田和茂さんの漆のうつわ
2023.04.01 Saturday
「ホーケキョケキョ」とウグイスが少したどたどしく鳴く頃、土田和茂さんの工房へ訪れました。
久しぶりの訪問でしたが、土田和茂さんと奥様の郁紀さんがおふたりで温かく迎えてくれました。
土田和茂さんは、塗師 赤木明登氏のもとで6年間修行したのち2012年に独立され、現在は輪島市で制作をされています。
土田和茂さんの器は、つい手に触れたくなる器。
形や質感が柔らかく、どこか人に触れるような優しい感覚があります。
手に触れたくなる理由には、様々な工程が隠されています。木地を研いだり布を貼ったり何度も漆を重ねたり、、、積み重ねられた工程が柔らかくしっとりとした質感や形につながります。
土田さんのもの作りは、使う人、相手のことを考え作られています。使いやすさや好みは人それぞれ。自分に合う器があればお選びくださいという誠実さが器にもあらわれています。考え抜かれ手間暇かけ作られた器だからこそ、普段の生活にすっとなじみ気持ちにすとんと入ってきます。
漆器は、器の中でも抜群に使い勝手が良いです。軽くて持ちやすく、熱いものを注いでも器が熱くならないので、手でしっかりと安心して器が持てます。特別な手入れも必要なく、例え落として割れたり欠けたりしても修繕していただけます。
そして、何より毎日使うことでいつもまにか艶が出て器が育ちます。毎日の食事を美味しいものにしてくれ、ふと気づくと自分なりの艶が。忙しい毎日を支えてくれ、艶が出て育った姿を見ると誇らしく、さらに愛着が湧きます。
土田和茂さんの気取らない誠実なお人柄と奥様の郁紀さんのたおやかで包み込むようなあたたかさ。いつも見守られているような励まされているような気持ちになります。
土田和茂さんの漆の器は、まさにおふたりのお人柄そのもの。毎日の生活を支えてくれる家族のようなあたたかな漆の器。初めて漆の器を選ばれる方には特におすすめです。ぜひ手に触れて、ご自身に合う漆の器を見つけにいらしてください。
松田敦子さんの焼き菓子
2023.02.06 Monday
松田敦子さん(嵐あっちゃん)のつくる焼き菓子は、材料にこだわり、卵、バターなど乳製品を使わない焼き菓子です。一度食べると記憶に残る美味しさで、ごはんを食べるようにもぐもぐむしゃむしゃと心も体も満たされた気持ちになります。
出会ったのは15年以上も前、自然食品のお店のカフェで働いていた時。松田敦子さんの作る玄米のおむすびは絶品で、あっちゃんに会いにお店に行くという人も。その後、ユニットで営んでいたヴィーガンのお弁当屋さん「niginigi」さんを経て、現在は地元の果物や野菜を使用した体に優しい食べ物のお店「Siii」さんで働かれています沖縄のマクロビオティックのカフェで働かれていたこともあり、経験の多さに驚かされます。
甘さが控えめで、塩やスパイスが良い塩梅。歯応えも、その焼き菓子によって違うので楽しめます。ザクザクした食べごたえやほろっとした口溶けのよいお菓子まで。ひとつ食べるだけでとても満たされた気持ちになります。
焼き菓子なのですが、お酒のおつまみにもちょうど良いです。お酒が飲めない松田敦子さんですが、酒飲みのツボを心得ていらっしゃいます。今回は、バレンタインも近いので「お酒に合う焼き菓子を」のリクエストに応えてくれました。
スパイスを効かせたクッキーに、国産くるみ・クランベリー・ブランデーに浸けたいちじく・オーガニックのチョコレートがごろごろ入った贅沢なグラノーラ。そして、金沢のゆずをつかったなんとも美味しいゆずピールチョコ。ゆずがもちっとして柔らかくカカオとの相性が抜群です。
松田敦子さんに「とても美味しい」と伝えるといつも決まって「素材が良いから」と返ってきます。体に良い素材をふんだんに使用し、塩やスパイス、使うトッピングにも楽しさやセンスが感じられます。「たくさん失敗もするよー」とも。
飾らないあっちゃん、誰からも愛される素直で素敵な女性です。
彼女に会うたび、お菓子を食べるたびに元気になります。
今回はバレンタインということもあり、カカオを使った焼き菓子を作っていただきました。数が少なくなりましたので、2月9日(木)に追加で届けていただくことになりました。どうぞお楽しみに!
長屋桃子さんの漆箸
2023.01.19 Thursday
長屋桃子さんは、島根で制作をされている漆塗りの職人さんです。
金沢で漆を学ばれ現在は島根の出雲市にいらっしゃいます。
最近、念願の工房が完成したそうで今後の活動も楽しみです。
長屋さんは器も制作されていますが、お店では漆の塗箸をお取り扱いさせていただいています。
毎日使ってもあきがこず、日常の食卓になじみ、なおかつ使いやすい。
しかも、使っていくうちに自然と艶が出て育ちます。
細くて六角なので、面が細やかな角度で指を支えてくれ動かしやすいです。
個人的には四角も好みなのですが、六角はお箸を使う仕草がより美しく感じます。
面が多いほど漆を塗る面も増え、手間も時間もかかります。
長屋さんは面の多い六角のお箸にテンションが上がるそう。さすが、、塗師です。
溜り塗りのお箸。奥行きのある色でザクロ色。
使ううちにどんどん飴色が透けていき鮮やかな赤になり育てる楽しみがあります。
巻箸は、タコ糸をくるくると巻きつけ漆を塗ります。
滑りにくく、麺箸や取り箸としても使いやすいです。
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長尾桃子|夫婦箸 Cセット |
夫婦箸で赤と黒を選ばれる方が多いのですが、最近は浅葱(アサギ )と白を夫婦箸に選ぶ方も増えてきました。
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長尾桃子|夫婦箸 Aセット |
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長尾桃子|夫婦箸 Bセット |
ご家族で「この色はお父さん、お母さん、、」と選ぶ姿を拝見すると微笑ましくなっています。食卓を彩り美味しいご飯をいただくための大切なお箸。贈り物用にご家族用におすすめです。
型染絵作家 山﨑菜穂子さん
2022.04.24 Sunday
山﨑菜穂子さんは日々の気づきや風景をモチーフにされている型染絵の作家さんです。
神奈川県で生まれ女子美術大学を卒業後、金沢卯辰山工芸工房を修了し金沢で作品を制作されています。
独自の視点で図案を型におこし、型染の技法で染め上げます。
図案家でもあり、お店のオリジナル包装紙をデザインしていただきました。
今では、「山﨑さん」や「菜穂ちゃん」と名前を呼んで包装紙を選んでくださる方も。
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日本の伝統技法の型染ですが、山﨑さんが染めて加工される作品は毎日使えるようなものばかりです。
ハンカチやバッグ、ポーチにエプロン。
普段何気なく見ている風景や物が山﨑さんの視点で切り取られ、はっとさせられたりクスッとさせられたりします。
可愛らしいといういう言葉ではおさまらない、とてもセンスのある作家さんです。
手前2つは「リンゴ」一番奥は「ヤマボウシの実」。
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普段は気づかない果物の断面や道端に生えているツタの葉など、山﨑さんの視点でみるとどれも素敵なモチーフになります。
型染は表面に色を乗せるのではなく、糸を染めるため色に深みがあり裏も表もしっかりと染め上がります。
型紙を切り抜いた部分が境界になるため、キリッとした輪郭と山﨑さんのモチーフが絶妙な組み合わせです。
「型染は制限があって、自由すぎない所が面白い」と山﨑さん。
使う人には自由な発想を与えてくれる山﨑さんの型染絵。
山﨑さんが2014年に金沢卯辰山工芸工房を修了した時の展示は今でも忘れられません。
天井から掛けられた大きな何枚もの布。
風景を切り取った型染の布でした。
大空を見上げているような気持ち良さに感動したのを覚えています。
大きな布から生まれてくる型染絵、気づくことや楽しむことの大切さを教えてもらっているような気がします。
好日用品店 廣島友紀
染織作家 樋口佳苗さんの織物
2021.12.09 Thursday
上質なウールやカシミアを用いてあたたかで包み込むようなストールやマフラー、手袋などを作られている樋口佳苗さん。
新潟県出身で女子美術大学を卒業後、東京の織物工場で働きながら自宅のお部屋にある織り機で手織りをされています。
金沢市で制作されていたこともあり、その頃からのご縁です。
樋口さんのストールを巻いた方は、みなさん「あっ」と言って心地よさを感じてくれます。
巻いた時の軽さや包まれる感覚は、人が持っている優しさにとても似ています。
人の手が作るぬくもり、愛情、優しさが伝わる織物です。
技術とセンスもすばらしく、随所に遊び心も感じられます。
織物工場では機械織り、ご自宅では手織りと、同じ織りの仕事で集中力が続くのが樋口さんのすごい所。
ご自身の制作では手織りの持つ魅力や表現の広がりを大切にされています。
両方の工程を知っているからこそ生まれてくる手織りの織物。
丁寧に織り分けられ、布の透け感やでこぼことしたテクスチャーも特徴のひとつです。
タテの糸とヨコの糸から織られる織物。
デザインを考え、糸を選び時には染色し、丁寧に下準備に時間をかけます。
そして、調和やバランスをみながら織りすすめていく。
樋口さんの経験という多くの引出しが作品に生かされています。
良いことがあった日もそうでなかった日も樋口さんの織物は、ふわっと包み込んであたためてくれます。
いつもそばで寄り添ってくれるそんな存在です。
好日用品店 廣島友紀