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陶芸家 中嶋寿子さんのこと
2021.08.06 Friday
お店で取り扱いのある中嶋寿子さんは、陶土を使って作品を製作をされています。
神奈川県の出身で女子美術大学工芸学科を卒業後、2011年に金沢卯辰山工房を修了されました。現在は石川県で制作をされています。
陶の独特の表情や作品の世界観、そして中嶋さんの人柄にたくさんの方が集まります。
モノから人へ、人から人への繋がりや広がりを実感させてくれる作家さんでもあります。
中嶋寿子さんの作品は、まず石こうで型を作ります。
出来上がった型に、ちぎった土をや砕いた土の粉を中側に貼り付けていきます。
型と型を合わせる部分に土を盛り付けくっつけます。そして、時間を置いてはずし素焼きにします。
型は同じでもひとつひとつ表情が違うので、お客さまは探すようにご自分の気に入ったものを選ばれます。
陶板は、手動の機械で土をのばし布を敷いて板枠にはめこみます。
表面に、ちぎった土を貼り付けたり、砕いた土の粉をまぜます。
ナイフで絵型を切り抜き、その部分に土を埋めていき出来上がったら素焼きにします。
陶板は、正面から見ると版画のような壁画のような独特の表情です。
壁飾りや壁のタイルとして中嶋さんの作品を使用しているお店が金沢にはたくさんあります。
「好日用品店」の陶板(表札)は中嶋寿子さんが作ってくださいました。
まだ3年ほどですが、長い年月がたったような風格が漂っています。
オブジェなどは、ひとつひとつのパーツを細かく制作されています。驚くほど、細かい作業をおひとりでされています。
用途が違っても、その物が持つ雰囲気は変わりません。
土の中から発掘されたような古い昔からあるもののような。
中には、海岸に流れついたような漂流物のような作品もあります。
どの作品も静かに息づいている生き物のように感じます。
お住まいから離れた場所にある古い繊維工場の奥の片隅で、静かに制作されています。
ひんやりとした空間に古いラジオと作業用の机。
大きな木槌や粘土。石工の型がごろごろと転がっていました。
中嶋寿子さんとはお店をする前からの10年以上の付き合いです。
出会った頃に彼女の制作した大きなオブジェと出会い衝撃を受けました。
原始的で力強く、人を引き寄せる魅力に溢れていました。
現在は、ブローチや花器、器、壁掛け、小さなオブジェなども制作されています。
目にするたびに嬉しくなり、そばに寄り添ってくれる存在。
進化し続ける中嶋寿子さんの作品、生まれてくるのが待ち遠しいです。
好日用品店 廣島友紀